テントの防炎、不燃ってなんだろう?

 テント生地に関するご相談のなかで、しばしばこれは防炎ですか、不燃ですか?という質問をお受けすることがあります。

 実は、防炎と一言でいっても設置できる場所に注意が必要な「防炎品」があり、単純に防炎性能を有しているからどこに使用しても良いというわけではありません。


消防法における防炎・防火対象物に関する規定は、火災の予防と防火対策を強化するための重要な部分です。以下はその詳細です。


1. **防火対象物の定義**:

- 防火対象物とは、火災の発生時において燃え広がりを抑制し、安全な避難を確保するための特定の基準を満たした建築物や施設を指します。


2. **建築物の防火基準**:

- 建築物は耐火構造として設計・建設される必要があります。これは、火災が発生した場合でも一定の期間は構造が崩壊しないことを意味します。

- 防火区画の設置が必要で、これにより火災が一部の区画にとどまり、燃え広がりを抑制します。


3. **消防設備の要件**:

- 建築物には、火災を早期に発見し、鎮火するための消防設備(火災報知器、消火器、自動散水設備など)の設置が必要です。

- 定期的な点検や保守、適切な操作方法の普及も求められます。


4. **防火対象物の表示**:

- 防火対象物である建築物や施設には、その性質を示す「防火表示」を適切に設置・維持する義務があります。


5. **防炎性能の基準**:

- 建材、内装材、家具などの材料に対する燃焼性能の基準が設けられています。これにより、火災が発生した場合の燃え広がりを制限し、適切な避難を可能にする目的があります。


これらの規定は、建築基準法や関連する法令とも連携して適用され、建築物の設計、建設、運用において厳格に遵守する必要があります。


 消防法令では、映画館や飲食店・ホテルのように不特定多数の人が利用することを想定した特定用途の建物や、災害弱者の方が多く集まる病院・幼稚園などの特定施設を「防炎防火対象物」と定めています。


 この防炎防火対象物に指定された施設では、カーテンやじゅうたん等の火災初期時に火種となりやすい品目を「防炎対象物品(防炎物品)」に指定し、必ず基準以上の「防炎性能」を備えた製品を使用しなければならないと決められています。

 こうした制限のことを「防炎規制」といいます。


 防炎性能とは、火が燃え広がりにくい性質のことです。

「防炎」は「不燃」と違い、あくまでも燃えにくいことを表す用語ですが、もし着火しても自己消火性を有してるため、火がそれ以上に燃え広がることがありません。

 一方の不燃性能も「絶対に燃えない」という意味ではなく、20分間その表面が加熱されても燃焼せず、溶融・損傷などが起こらず、有害な煙やガスを発生しない性質を表現する用語です。


防炎物品にはどんな品目が指定されていて、どういった施設が防炎規制の対象となるのかをざっと確認しておきましょう。


高層建築物(高さが31メートルを超える建築物)

地下街

劇場、映画館、集会場など

キャバレー、ナイトクラブや性風俗関連に類する店舗など

カラオケボックス等の個室を客に提供する店舗

飲食店、料理店など

百貨店、マーケットなど

旅館、ホテル、宿泊所など

病院、診療所、幼稚園や特別支援学校など

公衆浴場など

映画スタジオ、テレビスタジオ

複合用途防火対象物で上記の用途に供されている部分

建築物の地階で連続して地下道に面して設けられたものなど

工事中の建築物・工作物など

 特に注意してもらいたいのが、リストの最後に挙がっている

“工事中の建築物・工作物など“ の部分です。

 これは建築工事で工事中に守らなければならない防炎規制のことで、規制を受ける対象品目は「工事用シート」です。

工事現場の仮設足場などに掛かっているシート、と言えば分かりやすいでしょうか?

 工事中には現場での溶接作業など火を取り扱う事もあるため、たとえ火災が発生したとしても燃え広がらないように防炎物品を使用することが消防法令において決められているのです。

 上記リストの他の対象施設が、施設の形状や用途に該当することで規制を受けるのに対し、リストの最後だけは建物の用途に関係なく、建築工事に関わる規制となっています。

※厳密には都市計画区域外のもっぱら住居用途の建物とそれに付属する工事は対象外となります。


防炎規制は、建築物や製品の燃焼性能を評価し、火災の発生や燃え広がりを抑制するための基準や規定を定めるものです。以下に防炎規制に関する詳細をまとめます。


1. **目的**:

- 防炎規制の主な目的は、人命の保護と財産の安全を確保することです。燃焼しにくい製品や建築物を使用することで、火災が発生した際の被害を最小限に抑えることを目指します。


2. **適用範囲**:

- 建築物、内装材、家具、電気・電子機器、自動車など、さまざまな製品や施設に対して防炎規制が適用されます。


3. **評価基準**:

- 防炎性能は、燃焼速度、燃焼時間、燃焼範囲、煙の発生量などの指標で評価されます。

- 規制には、特定の火炎試験や熱放射試験、煙発生試験など、各種の試験方法や基準が設けられています。


4. **認証制度**:

- 防炎規制を満たす製品には、第三者機関による評価や認証が行われることがあります。これにより、製品の防炎性能が適切に評価され、消費者や使用者に信頼性が提供されます。


5. **国や地域の差異**:

- 各国や地域によって防炎規制の内容や基準が異なる場合があります。製品を輸出・輸入する際には、対象国や地域の規制を遵守する必要があります。


防炎規制は、製品の安全性を確保するための重要な基準であり、火災予防と防災対策の一環として広く適用されています。


テントの防炎性能は、テントが火災などの熱源にさらされた際の燃焼や燃え広がりを抑制する能力を指します。以下は、テントの防炎性能に影響を与える主な要素と詳細です。


1. **使用される素材**:

- ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は、燃焼しやすい性質があります。一方で、防炎加工を施したり、防炎材料を使用したテントは燃焼しにくい特性を持つことができます。


2. **防炎加工**:

- テントの素材に特殊な防炎加工を施すことで、燃焼を遅らせるまたは燃え広がりを抑制することが可能です。この加工は、テントの安全性を高めるために重要です。


3. **テントの構造**:

- テントの構造やデザインも防炎性能に影響を与えます。例えば、通気性を持つ設計や、火災が発生した場合に燃え広がりを抑制するような構造が採用されることがあります。


4. **規格と基準**:

- 一部の国や地域では、テントに対する防炎性能に関する規格や基準が設けられています。これに適合することで、テントの安全性を評価・確保することができます。


テントを選ぶ際には、これらの防炎性能に関する要素を考慮し、安全性を確保するための適切な選択をすることが重要です。


テントの防炎性と不燃性は、テントが火災に対してどれだけ耐性を持っているかを示す異なる性質です。以下にその違いを詳しく説明します。


1. **防炎性**:

- **定義**: 防炎性は、テントが火災にさらされた際に、燃焼や燃え広がりを抑制する性質を指します。

- **特性**: 防炎性が高いテントは、火に触れたときに燃焼する速度が遅くなり、燃え広がりが抑制されます。ただし、完全に燃えないわけではありません。


2. **不燃性**:

- **定義**: 不燃性は、テントが火に触れても燃焼しない、または極めて難燃性を持つ性質を指します。

- **特性**: 不燃性が高いテントは、火に触れても燃焼しづらく、燃え広がることなく火災を抑制します。これは、テントが火を完全に防ぐことを意味します。


**要点**:

- 防炎性は燃焼や燃え広がりを遅らせる性質を示す。

- 不燃性は、火に触れても燃焼しづらいか、燃えない性質を示す。


テントを選ぶ際には、使用環境や安全性のニーズに応じて、防炎性や不燃性の特性を確認し、適切なものを選ぶことが重要です。


このブログを見てくれてテント倉庫に興味をお持ちになりましたお方はご気軽にお問い合わせください♪

弊社担当が迅速に対応させていただきます。